寒さは、美しさを磨く。

寒いのは苦手。冬の朝なんてベッドの温もりから離れがたくて、
目覚めてから30分近くも葛藤し続けてしまうし、
せっかくの休日も外へ出かけるのがおっくうになってしまう。
このままじゃ、引きこもりになりそう。そんな自分を変えようと、
その日は思い切って早起きをして、白い息を吐きながら散歩に出た。
手袋をしてマフラーをぐるぐる巻きにしても、まだ寒い。
でも、キーンと冷えきった空気は清々しくて、体中の細胞が一斉に目覚める感じだ。

早朝の公園は、いつもとは全く違う表情を見せていた。
昇って間もない太陽が、一面をまぶしく照らしている。
きらめいているのは、霜だ。うっすらとまぶしたグラニュー糖みたいに、
小さな氷の粒がキラキラと光っている。
霜で白く縁どられ、葉脈が浮かび上がった花壇のヒューケラ。
その葉は、繊細に編み上げたレースのようだ。
冬の朝には、こんな特別な世界が広がっていたんだ。
指先も耳も、ちぎれそうなほど冷たくなっていたけど、
しばらくベンチに座ったままその光景に見入ってしまった。
寒さって、キレイ。
そういえば、公園からの帰り道に見かけた純白のサザンカは、
一番過酷な季節を選ぶように今を盛りと静かに咲き誇り、
凛とした気品を漂わせていた。
凍てつくような厳しさが、花の美しさを磨くのかもしれない。

人間も寒さの中に身を置くと、
体が一生懸命体温を上げようとして血行を促進、肌がキレイになるらしい。
しかも、心にもシャキッと気合いが入って背筋が伸びる。
佇まいまで美しくしてくれるような気がする。
寒さは、風景も花も、人も、美しく磨いてくれるんだね。
ベッドにしがみついている場合じゃない。
今年の冬は、寒さをたっぷり楽しんで、しっかりキレイにならなくちゃ。

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