お風呂の国に生まれた幸せ。

近所のお花屋さんの店先に、花桶に入った見慣れない葉っぱが置いてあった。
近づいて見てみると、「菖蒲湯にどうぞ」と書いてある。
そうか、もうすぐ端午の節句なんだ。
すらりと伸びた細長い葉、顔を近づけると爽やかな香りが漂った。
独特の芳香が邪気を払うといわれ、端午の節句には
菖蒲湯で子どもの健やかな成長を願うのだと聞いたことがある。

菖蒲の葉の前に座り込んでクンクンしていると、
「菖蒲にはアロマ効果もあるので、とてもいいんですよ」
と店のスタッフの女性。そして、日本には昔から季節湯という
お風呂の愉しみ方があることも教えてくれた。
5月の菖蒲湯と12月のゆず湯はよく知られているけれど、
実は12カ月分、各月ごとに季節湯があるのだという。
1月は松、2月はなんと大根、といっても大根の葉の方を使うらしい。
3月よもぎ、4月桜、6月どくだみ、7月桃、8月ハッカ、
9月菊、10月生姜、11月みかん。
案外手に入れやすいものばかりで、実際に試してみたくなる。
お正月らしい松のお風呂は樹木系の香りで森林浴気分を味わえそうだし、
菊の花のお風呂はまさにフラワーバス。桜は樹皮を煮出して使うそうだけど、
一緒に花びらも浮かべたら最高に優雅なお風呂になりそう。
季節湯のはじまりは薬湯だったらしく、その季節に合った効能もあるという。
確かに、8月のハッカ湯なんてお風呂上がりがスーッと爽やかになって、
夏バテを吹き飛ばしてくれそうだ。

それにしても、日本人ってつくづくお風呂が好きなんだね。
その時々の旬をお風呂に入れて、季節の香りを愉しむなんて粋なことを
思いつくんだもの。あ、オリジナルの季節湯を考えるのも面白そう。
5月は新茶の季節、緑茶湯なんてどうかな。香りもいいし、
美肌にいいと聞いたこともある。アレコレ想像するだけで、ワクワクする。
でも、まずは定番の菖蒲湯で、お風呂の国に生まれた幸せをかみしめよう。

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