ホクホクの、季節の便り。

「栗が届いたから、いらっしゃい」と実家の母から連絡が入った。
今年も、もうそんな時期なんだ。毎年この季節になると、
裏庭の栗の木がたくさん実をつけるというおばあちゃんの田舎から、
ごっそり栗が送られてくるのだ。お店で売っているのと違って、
粒は不揃いだし、たまに虫喰いも混じっていたりするのだけど、
不思議と味はすごくいいのだ。

実家に帰ると、リビングのテーブルでおばあちゃんが栗をむいていた。
栗が届くと、まずは栗ごはんを作るのがおばあちゃんの決まり。
で、残りは大抵、渋皮煮にする。
「栗ごはんでしょ?」と聞くと、笑ってうなずきながら包丁を差し出す。
一緒に皮むきを手伝うのも、子どもの頃からの恒例だ。
栗のおしりを切り落として、手で鬼皮をむいたあと包丁で渋皮をむく。
ひと晩水に浸けてふやけた栗は、するりと簡単に鬼皮がむけるのだ。
包丁が使えない頃は、鬼皮むき専門だった。
おばあちゃんとおしゃべりしながら、皮むきをするのが楽しかった。
学校のこととか、友達のこととか、いっぱい聞いてもらったな。
ほめられたり、なぐさめられたりして、ホッとして。
包丁の使い方を教えてもらったのも、おばあちゃんからだった。
「危なっかしかったわよね〜、渋皮むいてもらったら
 栗がどんどん小さくなっちゃって、最後は豆みたいになって」
今は、あの頃の思い出話をしながら、皮をむく。

炊きあがったほかほかの栗ごはんを、ひと口頬ばる。
大きな栗が丸ごとゴロンゴロン入っていて、ホックホックだ。
口の中に広がる、ほのかな甘み。そうそう、この味。
今年も、秋が来たんだなと思う。
栗ごはんは、季節を教えてくれるおばあちゃんからの贈り物。
やさしいおいしさは、おばあちゃんと皮むきをする、
あのあったかい時間のせいでもあるのかもしれない。

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