日本酒ヌーボー、はじめました。

街路樹のイチョウが鮮やかに色づいて秋が深まってくると、
ボジョレーヌーボーの季節だ。「今年も味見しなくちゃね」ワインの味なんて
ほとんどわからないのに、飲みに行こうと同僚と盛り上がっていた。
すると、隣で聞いていた先輩から「フランスより日本のヌーボーだろう」
と言われた。日本酒も新酒の季節なのだそうだ。

これからの時期は、あちこちの造り酒屋の軒先に青々とした真新しい杉玉が
吊されるという。あれは‘新酒できました’の目印。
伝統的な酒蔵では、冬の寒さの中でお酒を仕込む寒造りを行うので、
冬から春にかけて次々に新酒が生まれるのだ。
そろそろ、秋に収穫されたばかりの新米で仕込んだ新酒が出はじめ、
年が明ける頃に最盛期を迎えるらしい。
「しぼりたての醍醐味を味わうなら、お酒に火入れをしない生酒だね」と先輩。
「とにかく、弾けるようにフレッシュ。口に含むと、すがすがしい甘さや
荒々しい辛さが感じられる。で、後味にはほんのりほろ苦さ」
まるでソムリエのように流暢に味わいを表現する。
さっきまでボジョレーと言っていた全員が、もう日本酒を飲む気満々だ。
結局、先輩が行きつけにしている日本酒バーに繰り出すことになった。

マスターが出してくれたのは、今日届いたばかりだという新酒。
ラベルに「しぼりたて」の文字が入っている。
さっそくグラスに注いでもらって、乾杯!全員が嬉しそうにひと口。
爽やかで口当たりがいい。先輩が言ったとおりだ。
この季節にしか味わえない楽しみ。日本酒にも、旬があるんだ。
「これは、にごり生酒。微発砲でなかなかいけるよ」とマスター。
フルーティーで上品な味わいだ。出されるまま、おいしいおいしいと
飲んでいるうちに、かなり酔いがまわってきてしまった。「マズイ!」
「えっ?」「いや、おいしいです!」「でしょ?」
「ほんとマズイな。あ、おいしいんです」わけがわからなくなってきた・・
確かなのは、日本酒ヌーボーにして大正解だったということだけ。

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