春なのにコスモス。

自宅のバルコニーから夜桜が見えるという友人から、招集がかかった。
いつものメンバーで集まって、お花見ホームパーティーをするという。
行ってみると、確かに向かいの公園の見事な桜が正面に見える。
「最高の眺めだね。満開の桜に月までセットされているじゃない!」
夜空を見上げてみんなで盛り上がっていると、
「そういえば、宇宙旅行の日って知ってる?」と誰かが言い出した。

1961年4月12日、当時のソビエト連邦、つまり今のロシアが
人類初の有人宇宙飛行に成功。その日を記念して、『世界宇宙旅行の日』
が制定されたという。たった一人で地球を飛び立った宇宙飛行士ガガーリンの
名前は聞いたことがあるし、彼の「地球は青かった」という言葉は有名だ。
それから60年近くたった今、宇宙旅行は現実味を帯びてきている。
宇宙旅行の日を教えてくれた友人によれば、今年中にも
実現するかもしれないそうだ。既に、チケットは完売しているらしい。
「宇宙ステーションからツイッターが投稿される時代だもの」と彼女。
そして、自分のスマホを取り出し、次々と宇宙の写真を見せはじめた。
漆黒の宇宙空間に群れなすように浮かび上がる大小の星々、
その周囲を瑠璃色の光彩が取り巻いている。ため息が出るような美しさ。
NASAのインスタをフォローしているのだそうだ。
吸い込まれそうなほどに怪しい妖艶さを漂わせる渦巻き銀河は、何十億光年も
かなたにある姿。そして、虹色に輝く網目状の帯は約8,000年も前に起きた
超新星の爆発の跡の星雲だと、嬉しそうにひとつひとつ説明してくれる。
気が遠くなりそうなスケール。この空の先にそんな世界が広がっているんだ。
「宇宙の写真を見ていると、ちっぽけな悩みなんてどうでもよくなるの」
と友人は笑う。最後に見せてくれたのは青い地球の姿。改めて、地球も宇宙に
浮かぶ星のひとつなんだと思うと、そこに住むことの奇跡を感じてしまう。

気がつけば、みんなで夜空ばかり眺めて、宇宙のことを夢中で話していた。
お花見だったはずなのに。「でも、宇宙のことをコスモスともいうよね」と友人。
なるほど。今日のお花見は、桜じゃなくてコスモスだったんだね。

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