改めて、日本を見直す。

5月から元号が変わる。新元号が発表され、その典拠だという『万葉集』も
一躍クローズアップされている。もちろん『万葉集』は知っているけれど、
一度も読んだことはないし、読もうと思ったことすらなかったな。
よく考えると、日本の文化にあまりにも無頓着に生きてきた気がする。
海外の友人からあれこれ聞かれても、いつもほとんど答えることができない。
それって、あまりにも情けないよね。実家でそんなことを話していたら、
「だったら、茶道を習いなさい」おばあちゃんがここぞとばかり勧めてきた。

茶道は、お茶を点てる作法を習うだけじゃない。
日本の文化が全部詰まっているのだそうだ。茶室や庭などの空間、
お茶会に出される懐石や和菓子、季節に合わせた道具や茶室に飾る掛け軸、
花、お香、着物まで、衣食住のすべてにわたる文化を学ぶことになるという。
茶室の床の間に掛けられた書画や生けられた花、茶道具などには
そのときどきの季節がうつしとられ、茶会を催す亭主のおもてなしの
メッセージが込められている。それらを鑑賞する眼を養うことは、
茶道の大切な要素らしい。確かに、日本文化を総合的に学べそうだけど、
なんだか敷居が高い。「難しく考えることはないの。茶道の基本は
おもてなしの心だから」とおばあちゃん。冬に口が狭くて深い筒茶碗を
使うのは、お茶が冷めないようにという心づかい。逆に、暑い夏は口の
大きく開いた平茶碗で涼しさを伝える。お茶を飲むときに茶碗を回すのは、
器の美しさを守るため。亭主は茶碗の正面を客に向けてお茶を差し出す。
そのまま口をつけて、大切な正面が汚れてしまわないようにするための作法。
相手を思いやる心があれば、自然と身につくはずだという。

‘一期一会’はもともと茶道の心得を表す言葉。人との出会いを一生に
一度のものと思い、互いに誠意を尽くすという意味だ。招く側は精一杯準備を
して心を込めてもてなし招かれる側もそれに応えて心を通い合わせる、それを
何より大切にしている。茶道って、実は人間的であたたかいものだったんだ。
習ってみようかな。日本を見直すいい機会かも。「改元効果てきめんだね」
お茶の先生でもあるおばあちゃんが、満足そうに隣で笑っている。

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