おさがりは、思い出とともに。

実家に帰ったら、母がベッドの上に大量の洋服やらバッグを並べて
あれこれ品定めをしていた。どうやら断捨離らしい。
「ずっとクローゼットの奥にしまい込んだままにしていたけれど、
さすがにもう着られないものも多いし、そろそろ整理しなくちゃね」という。
確かにすごい量。よくこれだけ大事にとっておいたと思うほどだ。

肩パッド入りのワンピース、華やかなダブルのジャケット、超ミニスカート。
母が、こんなのを着ていた時代があるんだなぁ。レトロ感たっぷりだけど、
今見るとちょっと新鮮な気がしないでもない。「あ、これ可愛い!」
小ぶりの黒いワンハンドルバッグ。ゴールドのバックルが効いていて、
今持っても十分オシャレだ。「それ、お父さんと初めてデートしたときに
持っていったの」と懐かしそうに話す母。へえ、そうなんだ。
「今考えると、すごく気合い入っていたわね」と笑う。きちんと手入れを
してきたようで、何十年も経っているはずなのに全然傷んでいない。
「使うなら、あげるわよ」というので、ありがたく頂戴してしまった。
ついでに、片づけを手伝うふりをして見つけ出した、
上質そうな手編みのアランニットもちゃっかりいただいた。
複雑な編み目模様がモコモコと可愛らしく、あったかくて着心地がいい。
冬の定番ものだし、これから先も長く着られそうだ。
母のクローゼットの中は、意外にも宝の山だった。どれも素材やつくりが
しっかりしていて、今どきのものよりずっと質が高いのだ。
よく見たら、もらったバッグはなかなかのハイブランドものだった。
おさがりも、あなどれないね。

デザインさえ良ければいいとリーズナブルな服やバッグばかり買ってしまい、
ワンシーズン使ったら終わりなんていうことも多かった。でも、しっかりした
ものを大切に使って、いつか子どもに引き継ぐというのもすごくいいね。
母の思い出が詰まったバッグに、今度は自分の思い出を重ねて、次の世代へ
つないでいく。そうやって、物語をつむぎながら、いつくしみながら、
大事に大事に使い込んでいく。おさがりって、そういうことなんだね。

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