チャーミングな生き方。

「お茶を淹れるわね」そう言うと彼女は庭に出て、
元気よく茂っている葉を無造作に摘み、ハーブティーを淹れてくれた。
レモンバームとレモングラスとミントの、さわやかなお茶。
フレッシュハーブの豊かな香りが鼻を抜けていく。
その人は、子どもの頃から家族ぐるみのつきあいをしてきた母の友人。
東京から移住してもう10年以上、のんびりと田舎暮らしを楽しんでいる。

自分たちが食べる分の野菜を育て、広い庭で思う存分犬と遊ぶ。
そんな暮らしが夢で、夫婦で田舎に移り住んだのだという。
最初は母と一緒に訪ねていたが、その居心地の良さに、
ここ数年は気が向くとひとりでもお邪魔するようになった。
一緒に料理をしたり、畑の手入れをしたりしながら、
気がねなくくつろがせてくれるような、もてなし上手。
うらやましい暮らしぶりといい、気さくな人柄といい、憧れの人でもある。
60代後半、手入れが行き届いた髪はあえて染めていない。
ショートカットのグレーヘアがとても似合っている。
「鮮やかな色の服がこの髪だと意外としっくりして、気に入っているの」
染めない理由を聞いたときには、そう言ってニッコリ笑った。
「歳をとるのは自然なこと。抵抗すべきことじゃないものね」とも。
とにかくいつも自然体。そして良く笑う。
愛犬のラブラドールとじゃれ合うときなんて本気そのもの、
大笑いしながら転げ回る。
笑うときの目尻のシワが、やさしげでとてもチャーミングだ。
それを見ると、シワってハンデじゃないなと思える。

若さを失うのは恐いなって、漠然と思ったりしていた。
でも、美しさを決めるのは年齢じゃなくて、それぞれの生き方なんだね。
誰かの価値観で生きるのではなく、意志を持って自分のものさしで暮らす。
だから、彼女はいつものびやかで素敵なんだ。
そんなふうに生きていけたら理想的。簡単なことじゃないけどね。

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